個人が銀行カードローンで借り入れをする場合の注意点、特に金利を比較する時の注意点について解説します。
そもそもなぜ銀行カードローンの金利は低いのか
個人でお金を借りようと考えた際、主に消費者金融と銀行が選択肢として浮かぶと思います。
世間では消費者金融は審査に甘く金利が高い、銀行はその逆で審査が厳しく金利が低い、といったようなことがよくいわれています。
実際、昔の消費者金融は返済能力の審査もほどほどに過剰な貸付を行い、大きな社会問題となりましたが、今ではそういった部分への規制が強化されたこともあってネットでいわれているほど甘くはありません。
また、銀行も消費者金融より厳しいといわれていますが、多くの銀行カードローンでは消費者金融が保証会社になっており、返済の焦げ付きに対する保証業務をしています。
銀行カードローンの審査もこの保証会社が実質行っているともいわれているため、消費者金融と銀行カードローンで審査が甘い、厳しいといった顕著は違いはないと思った方が良いでしょう。
しかし、金利を比較してみると、確実に銀行カードローンの方が消費者金融よりも低金利です。
少し前は銀行カードローンの金利は5%前後~15%、消費者金融の金利は5%前後~18%くらいが相場でしたが、今では銀行カードローンの下限金利は1%を切るところもあります(住信SBIネット銀行では下限金利はなんと0.99%です)。
金利が低くて審査の難易度はさほど変わらない。
銀行カードローンの人気の背景にはこうした事情も一つ理由として挙げることができるでしょう。
では、なぜ銀行カードローンの金利は消費者金融よりも低いのでしょうか。
よく理由として挙げられるのは以下の2つの理由です。
◯ 資金が潤沢であり、利益を得る手段が複数ある
◯ 法的制限が消費者金融と異なる
それでは個別に見ていきましょう。
資金が潤沢であり利益を得る手段が複数ある
消費者金融と比べ、銀行は資金が豊富です。
なぜなら預金として多くのお金を預かっているからです。銀行は預金として預かっているお金を融資や投資に回すことで運用し収益を得ています。
一方、消費者金融が融資に使うお金は貸して回収したお金か銀行から借りたお金です。
言ってみれば“お金を貸す側”と“借りる側”という大きな違いもあるくらいに両者は似て非なるものなのです。資金量の違いは言うまでもありません。
また、銀行はお金を個人に貸すだけの消費者金融とは異なり、法人への投融資、投資信託や保険商品の販売、送金やATMの利用などで発生する手数料、さらに外国為替の運用益など、個人向け融資以外の様々な手段で利益を得ることが出来ます。
このように、銀行は消費者金融とくらべて複数の収益源がある上に元々の資金力もあります。こうした体力の違いが金利の差となっているという見方ができるわけです。
法的制限が消費者金融と異なる
また、法律上の立場の違いが背景にあるという指摘をする人もいます。
消費者金融には「年収の3分の1を超える貸し付けを行ってはならない」という貸金業法という法律の規制が適用されます。これは総量規制といわれるもので、年収の3分の1ということは年収300万円の人であれば100万円以上は消費者金融では貸せないということになります(自動車ローンや住宅ローンは含まれません)。
金利は融資額が低いほど高く設定されます。住宅ローンと自動車ローンを比べれば、一般的には高額融資となる住宅ローンのほうが金利は低く設定されているはずです。
先に少し触れた住信SBIネット銀行のカードローンは最高で1200万円まで限度額設定が可能です。0.99%という金利は、限度額1200万円での契約ができた場合に適用される金利なのです。
消費者金融も、銀行同様に限度額が1000万円まで規制なしに貸せるのであれば金利はもっと低くてもいいかもしれませんが、消費者金融には貸金業法上の規制があるために実際は一人の人に何百万円も貸せるような状況はあまりないはずです。仮に1000万円を貸そうとなると、その人の収入はその3倍、つまり年収3000万円の人ということになります。現実的にはそうそうあることではないでしょう。
一方、年収200万円とか、300万円の人に融資をするというケースは多そうです。そしてこの場合の融資額は最高でも60万円~100万円ということになります。
つまりメインとなる融資額を考慮すると、金利は高めにならざるをえないということです。
銀行では高額融資が可能なので限度額は高めに金利は低くめに設定
消費者金融は法律上多額の融資は現実味がないので高めの金利で大勢に少額を貸し付ける
以上がよくいわれる消費者金融よりも銀行から借り入れしたほうが金利が安い理由です。
では実際の大手銀行やネットバンクのカードローンの金利をはどれくらいなのでしょうか。次に代表的な金融機関をみていきましょう。
実際の金利比較
ここでは代表的なカードローンの「最高限度額」と「金利の幅」について、みてみましょう。
名称 | 最高限度額 | 金利帯 |
三菱UFJ銀行カードローン 「バンクイック」 |
最高500万円まで | 年1.8%~14.6% |
みずほ銀行カードローン | 最高1000万円まで | 年3.0%~14.0% |
三井住友銀行カードローン | 最高800万円まで | 年4.0%~14.5% |
住信SBIネット銀行
「ミスターカードローン」 |
最高1200万円まで | 年0.99%~14.79% |
楽天銀行カードローン
「楽天スーパーローン」 |
最高800万円まで | 年1.9%~14.5% |
じぶん銀行カードローン
「じぶんローン」 |
最高800万円まで | 年2.2%~17.5% |
ご覧の通り、借り入れの最高限度額と利率は銀行によって違いがあります。では実際に借り入れする際に気を付ける点はどんなことでしょうか。
借り入れ金利で気をつけること
それぞれの銀行の金利をみて
「たとえ同じ銀行でもかなり金利の幅があるな」
と思った方がいるかもしれません。
これは「実際にいくら借り入れするのか」ではなく、「借り入れ限度額がいくらなのか」で利率がまるで変わってくるのです。
例えば、三井住友銀行カードローンで100万円借りるとしましょう。三井住友銀行カードローンの金利は「4.0%~14.5%」となっています。
「限度額が100万円以下」で限度額一杯の100万円を借りるのであれば、金利は上限の14.5%が適用されます。
ところが「限度額800万円」で100万円借りる場合であれば、金利は下限の4.0%が適用されるのです。
同じ100万円を同じ銀行から借りる場合でも、限度額100万円で100万円借りる場合と限度額800万円で100万円借りるのではこんなにも金利が異なってくるのです。
このように同じ銀行のカードローンで同じ金額を借り入れしても、金利が全く違ってくるというのは大きなポイントです。
借り入れ限度額が低ければ低いほど金利は高くなりますし、上限付近での利率となることも多いです。ネット銀行など一部の銀行によっては消費者金融と変わらない水準となることもあります。
逆に借り入れ限度額が高ければ高いほど金利は低くなりますので、消費者金融と比べ銀行カードローンで借り入れるメリットが大きくなります。
また、多くの銀行にいえることですが、最初の借り入れ限度額が低く契約しても、返済をきっちり行っていれば限度額の増額が行われることがあります。限度額が上がればその分適用金利も下がってきますから、その点もしっかり理解しておきましょう。
限度額は高いほうが良い
ということです。
実際の金利別の返済シミュレーション
では実際に金利が違うことで返済シミュレーションがどのように変わってくるのかを見てみましょう。
例えば借り入れ額が30万円だと仮定します。
これを毎月1万円返済していくものとします。ここで金利18%の場合と金利10%とで返済期間と返済総額を比較してみましょう。
まず、金利18%でシミュレーションしてみますと41ヶ月で完済となります。
一方、金利10%だとどうでしょうか。なんと36ヶ月で完済となり、半年も早く完済できることになります。
では返済総額はどうでしょうか。
金利18%だと401,523円ですが、金利10%の場合は346,645円になります。
その差は54,878円です。
「30万円の借り入れ」に対する返済額として「5万円以上の差が生じる」のはかなり大きな違いといっていいかもしれません。
金利18%と金利10%では、返済期間で半年、返済総額で5万円以上の差が出るということを考慮すると、「いかに安い金利で借りるか」が重要なことか、おわかりになるかと思います。
先ほども述べたように、「借り入れ限度額が大きければ大きい程、金利は低くなる」ということをしっかり考慮して、銀行カードローンを上手に活用することが大切といえそうです。
具体的には、審査結果を知らせてくれる際に
『限度額50万円で申し込まれてますが、お客様は150万円の限度額での契約が可能です。』
といった提案をくれる場合があります。
こわごわと申込んでいる人だと、
『そんなに借りる必要も意思もないので50万円の限度額でいいです!』
と断る人も多いのですが、50万円と150万円では適用される利率が違ってきます。
金利のことを考慮に入れるならば限度額が多い方がより低金利で借り入れができますから一考の余地は大きいといえるでしょう。
以上、銀行借り入れの金利を比較する時の注意点についてまとめさせていただきました。ご参考にしていただければ幸いです。